パソコンを使っていると、高機能であることからパソコンの本質が見えにくくなる。しかしながら、パソコンはコンピュータの一種である。コンピュータは本質的には「計算機」である。本書は、コンピュータについて、比較的コンパクトに、それでいて本格的に解説したものである。

大書になりがちな本書のテーマを、著者はコンパクトにまとめあげることに成功している。単純に数学の解説書と考えると、説明不足の部分があるが、計算論を俯瞰する書物としてはよくできている。

本書では次の内容について説明する。伝統的な有限オートマトン、文脈自由言語、チューリング機械、決定不能性など。基本的に学生向けに書かれたものである。

本書を読むには、数学の知識は必要不可欠であるが、純粋な数学書に比べるとかなり読みやすくなっている。専門家向けというよりは、万人向けの書籍である。

 

野崎昭弘他訳「オートマトン言語理論計算論I」

オートマトン、言語および計算論の入門書。演習問題も掲載する。基礎的な部分の直観的な理解を確実にすることをめざして説明を詳しくした、84年刊の第2版。